台風１５号

この家に住んで初めてくらいの暴風でした。

今年は「己亥」。

五行で
「己（つちのと）」と「亥（い）」は
「土剋水」。

勢力あふれる水を土が止められるか、
土が水を濁らせ、濁流となるか、
異質なもの同士が合わさって、
孤高のものが生まれるかの難しさがあります。

我が家は55年経った普通の民家を買って
住んで20年。

はじめに、抜けない柱を大工さんに聞いて残し、
あとは床も壁も自分たちで好きなように直した家です。

床は畳を剥がして生木を貼り、
壁は漆喰をこねて天井も塗りました。

友人に
「ここはポルトガルのちょっと貧しい家みたいだね」
と言われました。

その家が、風で揺れた揺れた。

吹き飛ばされるかと思った。
風の音が怖くて眠れないのは初めて。

あまりにも凄かったので
天地創造の神様と
風神、雷神、龍神さまに祈りました。

あと、バーバーパパの絵本に出てくるような
白っぽいゴムのようなもので家を覆いました。

もちろんイメージで。

何となくゴムっぽいものだと大丈夫のような気がしたからです。

お祈りしすぎて疲れて寝て起きたら晴天。

庭に置いてある椅子も、
小さな細長い植木鉢も倒れていませんでした。

母屋は雨戸も閉めてないことに朝、気づき、
今度は、お祈りより雨戸だと。

備えなくては。

近所のおばさまの家は、ロープで車と車庫の屋根を
しっかりとつないでありました。

だけど玄関の大きな植木鉢が割れていて。

私が必死にお祈りしたのを言うと

⌈それは、効いたね。⌋と笑って、

庭の倒れた木の剪定をしていました。

台風が来ると
生きているのは人間だけでない
と感じます。

風の神、水の神、土の神、
自然神の存在が、息づかいが
人間を小さなものだと教えます。

人間の力が及ばないと心底わかった時、
人は祈るのかもしれません。

大きな存在を知る
台風でした。